circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

映画

アキ・カウリスマキ/枯れ葉

好きな監督の新作を見るということがあとどれぐらい人生であるのかどうか。ユーロ・スペースにて。またしても急に入る日本語の歌、さんざ泣かされたラヴィ・ド・ボエームのラストの「雪の降る街を」を思い出していたら、同じ人らしい、フィンランドの日本人…

サミー・フレイ/《ジャンヌ・ディエルマン》をめぐって

「ジャンヌ・ディエルマン」のメイキング。よくもまあ25歳の無名の女性監督の映画に注目してメイキングを撮ったものだと思う。最初からこれがいつか歴史に証明されると判断したサミー・フレイおよびその恋人かつ主演女優のデルフィーヌ・セイリグの確信のす…

シャンタル・アケルマン/ノー・ホーム・ムービー

辛い。いつからか遺作にするつもりで撮っていた、あるいは編集していたのではないか。荒れ果てた土地に吹く強い風から始まり、荒地はときどき挿入される。監督の内的光景か、あるいはブリュッセルをはなれたアメリカかどこかなのか。監督の老いた母がどんだ…

シャンタル・アケルマン/ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地

まずは聖地巡礼から。 https://maps.google.com?q=Quai%20du%20Commerce%2023,%201000%20Bruxelles,%20%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC&ftid=0x47c3c3856e791205:0xfd89825e10a5d573&hl=ja-JP&gl=jp&entry=gps&lucs=s2se 郵便番号が違うようだが… 邦題…

ジョン・フォード/コレヒドール戦記(1945)

蓮實御大の冒頭20分の解説付き。御大、どの作品を見ていない方や、このシーンで泣かない方には、やたらと暴力を振るうとか夜道に注意せよとか、仰る口の悪い芸が極まっている。淀川さんみたいに金曜ロードショウとかの映画の最初と最後に出てきて口の悪いこ…

ジャン・ルノワール: 河

多分二度目。全然覚えてない。オリエンタリズムとかコロニアリズムみたいなものに敏感な視線に自分が多分多少は変わっているだろうし、その目で見るのだけれど、うーん…たしかにインド人で特権化されているのはナンという多分ナニー的存在だけで、あとは隣の…

ミア・ハンセン・ラブ: すべてが許される

許されすぎだろう。これが男性監督であったらぜんぜん受け止められ方は違うにちがいない。難しいバランス。別れた娘と会うことが10年の夢だった、精神と人生を壊した詩人の前に、驚くほど青く繊細な紐で首にかかったワンピースを着た美しい娘がデートしてく…

エンマルノ・オルミ/ 楽園からの旅人

原題は段ボールの村。なぜこんなことをするのだろう。内容そのものの原題を変え、意味深な題名をつけることができるのは作者だけだ。これではだめだ。 見たあとで、だから?と、いう後に、ゆっくりと考えることがある気もする。主役の演技は私にはまだ煩かっ…

ソクーロフ/傷ましき無関心

DVDにて。ソクーロフ、通常営業の感。ストーンあたりの。ようするに、何をやっていて何がドラマ的に起こっているのかさっぱりわからないが、そして眠気との戦いなのだが、そこを我慢しているうちに何かが現れる…ような。忍耐の末に。でも、そのかんじ、すこ…

キム・ギドク/絶対の愛

キノシタホールにて。ギドクはすごく美しい色彩感覚とすごくいけてない音感と暴力の人だと思っていて、すべてがいかんなく発揮されていた。後者二つがまさりぎみなので残念ではあるけど、お面のシーンの色彩の凄さは掛けねなしに天才だと思った。エグいシー…

ウディアレン/マッチポイント

なぜ彼の最近の作品が好きかわかってきた。。 力が抜けていて、何も真剣でない。そんな馬鹿な、でできていて、キートンを見ているみたいな気持ちになる、あまりたくさんは、見ていないがね。マッチポイントはそれでもまだ真剣な頃合で、最近の彼のトレードマ…

ジョン・カサヴェテス/ラブ・ストリームズ

間の変なオペレッタは感心しないけれど、やはりこれも良かった。条理ではないところ、本当に、よりストンとくる。風立ちぬが首肯できないのは、愛の論理が単純すぎて賛成か反対かしかしようがない浅さだった、そのあとでのカサヴェテス、がつん、ときた。愛…

ジョン・カサヴェテス/こわれゆく女

ものすごくこわれていた。むしろピーター・フォークがこわれていた。画面から緊迫感がこんなにも抜けない感じ、しね、よみがえれ!以来な気がした。ああ、精神安定って大切よね、と、狂っていた時代を思い出した。今でもずいぶん狂っている。 いい映画、なん…

パシフィック・リム

わたしがみるべき映画ではなかったな(なんというか、ターゲットとされてない)、ということで、批評ではなく備忘。したがってネタバレやなひとよまないで。 これをいうとハリウッドほぼすべてなんだが、たけみっさんの受け売りなのだが、ドルビーサウンドで盛…

宮崎駿/風立ちぬ(2013 日本)

一言でいえば、お涙頂戴の下品な作品。ただひとり、庵野秀明の上品さが救っていた。 おすすめはしない。ここを読んでくれているひとには。で、未見のかた、下記読まないでね。そのかわりいますぐ「困ります、ファインマンさん」、の冒頭五十頁ぐらいを読んで…

ウディ・アレン/ローマでアモーレ

これはひどい。呆題にもかかわらず、近年力が抜けて見るのが疲れなくなった彼の、天才がキチガイになるとどれほどすごいかということを押し付けなく実感して、感想としては、こりゃあひどい、しかなく、日曜の名古屋の夜にたった十数人の客がみるべき映画じ…

ロメール/三重スパイ

ゆっくり味わうロメール的退屈。主演の女優、どれかの作品で見た、美しい年の重ね方。アマンダ・ラングレはあの話し方のままゆったりした体格のおばさんになっていて超がっかり。夏物語まではまだよかったのに!

ジム・ジャームッシュ ナイト・オン・ザ・プラネット("Night On Earth")1991 米 

英語の原題を日本語の語感で変えてしまうのはどうかと思うのだが…LA編の不良少女タクシードライバー/ウィノナ・ライダーがまだ20歳で、いまから考えられんほど超美少女だった。もし映画音楽がトム・ウェイツじゃなくて、武満徹のままだったらどうだっただろ…

カール・ドライヤー/ゲアトルーズ(1964・デンマーク)

http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=10572 アテネフランセ文化センターにて。ドライヤー初体験。聞いたほどに圧倒されなかった、映像も、ベルイマン「夏の遊び」に似ているがあの極限までには美しくない。ただ、話がやたら面白い。もう荒唐無稽…

キラ・ムラートワ/長い見送り(1971・USSR/ウクライナ)

アテネフランセにて。簿記受ける前日に、あせりながら一人で見てた。 驚愕。唖然。圧倒的。涙は出ない、そういう類のものではない。笑いすらできない。初めてヴィクトル・エリセをみたときと似たような感じ。あそこまで共感はできないけれど、金縛りにあった…

レオス・カラックス/汚れた血(1986・FR)

部屋にて、プロジェクタで、一人。 どこがヌーヴェル・ヴァーグの子なんだ。ゴダールやトリュフォーなんかよりずっといいじゃん。ずっと洗練されてる。ずっと現代的。勝手にしやがれとか、大人はわかってくれないとか、あんな芸術くさいもんより、ずっとずっ…

訂正

下の情報、アテネフランセのページで訂正されていました。グル・ダット「紙の花」は金曜日になったようです。以下http://www.athenee.net/culturalcenter/ より「映画の授業part.1」6月1日の上映作品に、誤りがありました。訂正しお詫びいたします。 迷惑か…

アテネフランセ映画の授業(スタン・ブラッケージ、グル・ダット、カール・ドライヤー、フレデリック・ワイズマン、オタール・イオセリアーニ、キラ・ムラートワなど)

http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/2006_06/lecondecinema01.html http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/2006_06/lecondecinema02.html特に、6月1日の紙の花だけは、絶対にお勧めです。ヤバイデス。id:Siestaさんはぜひとも行っ…