circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

ジム・ジャームッシュ ナイト・オン・ザ・プラネット("Night On Earth")1991 米 

英語の原題を日本語の語感で変えてしまうのはどうかと思うのだが…LA編の不良少女タクシードライバーウィノナ・ライダーがまだ20歳で、いまから考えられんほど超美少女だった。もし映画音楽がトム・ウェイツじゃなくて、武満徹のままだったらどうだっただろう、と思いながら、いまジム・ジャームッシュがボツにしたその、武満のナイト・オン・アースをいま聴いている。武満の音楽は、確かに映画の夜の暗さに対して、美しい光が満ちすぎている。なにしろのちに「系図」に使われることになる、あのとびきり美しい一番最後のアコーディオンの旋律なのだから(それを考えると、ジャームッシュにボツにされたことが結果的にはよかったのだとおもう)。ミソ↑レミ↓ソー、という夢のような旋律。たぶん武満が残したメロディーの中で一番美しい旋律。「系図」であの7度音程(ミ↑レ)や9度音程(ミ↑ファ)を聴くたびに、これはこの世の音楽ではないと思う。これは現実ではなくて夢。ジャームッシュはもっと現実のタクシーのにごったものが欲しかったのだろうな、と思う。もっとジャジーなもの、混じったもの。映画に比べて武満は無邪気すぎる。けれど、この音楽をきちんとあわせてみて欲しかったな、とも思った。うーん、無理だったのかなあ。


しかしウィノナ・ライダーってこんなに可愛かったのか。はああ。将来、精神やられて窃盗で捕まるなんてね、と思って、みてた。シットシット言ってて素敵。
あと、ヘルシンキ編の、マッティ・ペロンパーの名前が「ミカ」で酔っ払い乗客の名前が「アキ」(逆だったか)と言うのには笑いました。


コーヒーアンドシガレッツよりはずっとこっちのほうがいいな。みんなどっかめちゃくちゃでいい。とくにウィノナ・ライダーの不良っぷりがありえない。かわいいのに超不良。LA編とNY編とパリ編はお勧めできるかな、あとはまあまあ。パリ編の盲目の女性が夜空を見上げる構図が美しかった。