circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

美しい、という言葉でしか、言えない、在る、ということを通してしか詩であれない人たちのこと、かれらが、書けばすばらしい音楽を紡ぎ出すのに、書かないでいる、それは、自己表現意欲の、難しい井戸が、やはり難しく在って、かつて書くために存在するので…

がたーん、がたーん、君の根が揺れるなんでもないような朝に溜め息のような雪が降ってひとびとのなみだをさそうこまめな誘惑が崖を上っていく朝だ

ゆきよふりつもれきみのかなしみにゆきよふりつもれきみのくらやみにゆきよふりつもれきみのどんぞこにゆきよふりつもれきみがそのうえにたつことができるまで ゆきはふりつもってしははくしになった

落語家なのに悲しい話ばかりするね口振りばかり明るいの、いつだって

道端に猫がいて何人かあつまってそこでかわいいかわいいと言っている いつもの、いつものように見えるふうけいの記憶のなかに、もう居なくなった人が混じっているいつものように見えるのに 町は変わらない、眠さはますます重くなる分からないことはこうして…

閉じられた盆地の空の下で、 川の向こうには虚無しかない。 彼女は瞼でシャッターを切る。 そして一瞬を切り取る。 投げやりなほどのスピードで、 彼女も言葉も駆け抜ける。 前も後ろも死の、その一瞬に。

スロベニアの首都リュブリャナを、イタリア行きのバスはとても早く出た。バスが出るのは3日に1度、朝だけだ。旅行中財布を落として、わたしは意気消沈していた。雨がざあざあバスの窓を叩き、カルスト地帯の広い草原がくもって見えた。ノートパソコンを開…

手を振って別れた君の左手の香りが僕の右手に残り この雨になんの意味があるかしら ふわふわと河原あるけば目の前をとびこむおのれのドッペルゲンガー 道の晴れた側を歩く君のふくらはぎ エイプリルフールにきみを好きと言い しとしととあめがふっている ぬ…

叩く雨がとおりすぎる わたしはいつまでも吐き気がしている いつまでも

戯作

天狗の手下 手ぐすねひいて 寺巡り グリーン席 グラインド 具合悪い 仮眠 ぐすーん 風邪には限界 夜だね 寄る辺ない世の中だ

Dormirということばが、Dreamとにているということ DormやDormitoryもまた、dormirからきて、dreamのためにあるかのように。

眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子と日本の現代詩の関係、そして須賀の「詩集」について

須賀敦子さん、 あなたが、決して長くなかった人生のなかで、なんども行き止まりにぶちあたったり、座礁したりしながら、なんとか舵を切りなおし、べつの生き方を模索してきたその、最後の地点として、理不尽なほど短い期間しか与えられなかった作家という天…