circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

私が子供だった時、勉強しないで読書もしないで外で遊び回っていた頃は、ビデオゲームを買ってもらえなかったから、一人で壁に向かってボールを投げたりして、ストライクゾーンに入るかなんて永遠にやって飽きなかった。あのころ私の目が今よりずっと良かっ…

ひさしぶりにシューベルトの未完成を全曲聴いた、サブスクで。あまり初期ロマン派は聴かないし、だからCDを持っていなかった、いや、ムラヴィンスキーのを持っていた気がする。のだけれど、今日久しぶりに聴いたの、そしたら、冒頭のか細いチェロコンパスか…

一人だった、ずっと寝ていた。ずっと寝ていてはいけない、もう一年ぐらい音楽を聴いて寝続けていた。家では祖母と母は老いていく。私だけが止まっていて、家族は死に近づいていく。家族はそれほど社会的付き合いがなかった。私はなぜか死に近づいていくとは…

清潔な、よく照らされた場所

清潔な、よく照らされた場所 遅い時間のカフェにはもう客は誰もいなくなってしまって、ただ一人の老人客が残っていた。その席のあたりに、木の葉が電灯の光を受けて影を落としていた。昼間は埃っぽい街だけれど、夜になると露が降りて埃は落ちている。老人は…

人の数だけ地獄がある、それを認識するかどうかだけで、また、他人を羨むのも地獄を比べているだけだ 世の中は精神病に厳しい、病歴を書けば通れない道がたくさんあり、そのごとに蓄積する痛みを受ける。心の風邪というのであれば道を開けてくれたらいいのに…

絶望の中にきらきら光るそれは

息を詰めて待っていた命は夜に流れた。睡眠薬の効果の下でタクシーに乗りたどり着いた白い部屋で結果を聞いた。帰宅時に電車は動いていたが、帰ってもまだ睡眠薬の影響下に私はあった。私は昼過ぎまでこんこんと寝た。

地獄変読了。妙な静かな気持ちになる。私は今のうちの、私が私だけのために死ぬことができた日々のことを、後に残さなくては死ねないなと思う。一度まとめた詩集は、私の中を片付ける作業だったはずなのに、私の中はなんも片付いてない。詩の言葉ではない言…

なにもかんがえないでいられるのは およいでいるあいだだけ

「生きること、生きないこと、その狭間を遊ぶ」と、死にかけていた時に書いていたけど、生きることと生きないことの間には、ただ生き延びることという植物のような状態とか、グラデーションがあって、なんでもいいから死なないことがいちばん大切なんだと思…

あなたが世界に存在することで、世界は新しい視野を得た。あなたの眼が見なくなった世界をわたしは今生きている。あなたの見た世界はあなたの中にしかなかった。あなたがいなくなって一つ世界が失われてしまった。

あの盆地のなかに閉じ込められた空いっぱいにきみのひとみが見るらし 透明な病垂から水滴の染み渡って行くスーサイドカフェ 文字を読む 書かれた息を聞いて 書かれなかったことに 想像が広がっていくこともあり それを愛と呼ばないだろうか どこからきてどこ…

しごとはしんどくてつらい ひとがひとにきつくあたらなくてはならない のはなぜか それがしごとならだれがとくをしているのか すとれすをかかえることでおかねをもらえるなら そのすとれすはなんのかねになっているのか ふこうのたしざんはさいごふごうがひ…

いきるということをするのはつらい いきるということをするのはつらい そうおもう

過去にこだわりなんて持たなくていいんですよ、とMさんが言った。明日からぜんぜんちがう自分になっていてもそれを楽しむ自信はありますね。 振り返ってわたしの希死念慮は過去へのこだわり以外から発生していない。誇りも過去にあり、不幸せも過去にある。…

大丈夫か大丈夫かと内奥に問い掛けてみる答えはない

死んだあなたがいつもの場所でほかのひととにこにこしていて、おまえはええ子やなあ、ええ子やなあというので、あなたは死んだはずでは、と声にすると消えてしまいそうで、え?というのに、まだニコニコして確実にそこにいたので、安心して、あなたは死んだ…

あなたはここにいて、ここにいない2019年12月31日 あなたはここにいて、ここにいない。人の真似をして生きていて、でも本当に人なんだろうか、幽霊ではないのだろうか。バスに乗ってアップルストアの横を通り過ぎた。人がたくさんいて、その人たちの中には、…

うすいしろいひかりにみたされてでんしゃはとことこと 東海道をさくらのなかを富士のしたを そんなとこで会いましょうまたいつか

好きなことができて、そのことを堂々としていられる人生であればよかったのに、なぜか好きではないことをしながら、卑屈に好きなことをして、そのうちに卑屈な気持ちにたえられなくなりしなくなっているうちに、好きなものが好きなのかどうかわからなくなっ…

リリー・クラウスのシューベルトの即興曲D.899-2が頭の中を突然流れ始めて、あの細かい歌い回しを思い出すとき、多分わたしは誇張しているのだけれど、あの素晴らしい録音があればどうして他の人たちは未だに演奏して、録音しているのだろうという疑問がいつ…

星に向かって歩き出すまえの一歩、「囁くことさえしないでください」の指図(サイン)。そして見えない虹のうえを滑る、白く、霧笛が聴こえるなかを。降りたら、また一段ずつ登る、子どものように、片足ずつ。てっぺんに辿り着いたら夜の色が変わって。

新しい名前の病気になって またひとつ またひとつ

流される。流されたまま夢を見る。疲れていることで無感覚になり、何もしないことで感じる恐怖と虚無を忘れることはできても、詰め込まれた仕事は私がしていても私とはなんの関係も持たない。 自分ができない、他よりできない、と苦しみ悲しむばかりでそれを…

不幸としても出涸らしで、書いて意味のある言葉など最早なにも残っちゃいない。平凡を淋しく生きる未来を描いていなかった。いずれにせよ大いなる悲劇に終わるはずだった人生はいまはただ、、、

生きていたということを証として残すためにインターネットに何かを綴るという行為は10年前のわたしにはおそらく響いていたと思う。読んでくれる人は(特にコメントを残してくれたわけでなかったとしても)ネットワークの向こう側のモニターの向こうに私には確…

君を探して見回すけれど 君はいない もうどこにもいない

あれはなんだったんだろうか、と僕たちは丘に登ってつぶやいたりした。

池袋にはもう住みたくない。池袋にはもう住みたくないのです。

悩みやら悲しみやらを吐き出しながら生きていく方が、悩みやら悲しみやらを感じないで生きていくよりも贅沢な人生のように思うのは苦しみの性なのでしょうか、