circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

高校時代に彼が一生懸命つけている日記を読んだことがある。彼はいつもと置き場が違うのでわたしをすぐに疑い、2日ほどわたしと口をきかなかった。そこには性と死について延々と書かれていた。生きる意味が性だとすると自分には死しかない、とそこにはあった。だがそのあとで、彼はとても可愛らしい女の子を二人家に連れてきた。一人目は小柄で可憐な女の子で、とても感じのよい子だった。二人目は背がもうすこし高く、物腰の柔らかい笑顔が素敵な子で、一目見て私は彼女のことを好きになった。息子が彼女と別れたと聞いたとき、わたしは悲しかったが、それ以上に彼のほうが悲しかっただろうということはわかっていた。一回会話しただけのわたしですら一生忘れられないだろうと思っているのだから、息子の衝撃は大きかっただろうと思う。