circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

僕はあなたが言ってくれた、あなたは感受性のために犠牲を払っているんだ(それは尊いことなのだ)、という言葉をずっと忘れなかったし、それをありがたいと思っていました。僕は結局、僕の持っていた感受性というものがそれほどの物でなかったから生き延びたのだと思っていますが、あなたがそれを言ったというのは、きっとあなたが払ってきた犠牲と、あなたが見てきた犠牲があったからではないかと思ったのです。その中でも、世界が一番悲しむべき犠牲を払った天才を、30年以上もたって、今聞いている。これは、それでも、その価値がある、というよりも、犠牲が払われなくてはならないほどの熱量を持った何かがここにあると、強く感じる。ここにはたしかに死があり、しかし死は選ばれなかった。しかしそれ以上の苦しみのところへまで、連れていかれずにいられない、程の強さ。