circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

シャンタル・アケルマン/東から

ストローブ=ユイレ「早すぎる、遅すぎる」に対する映画界からの唯一の返信、とストローブが言っていたような記憶があり、それならば見ないわけにいかない、と思って。字幕なし。何がが話されているのかわからない。最初はアケルマンだからフランス語かな、と思いながら聴いていると、ドイツ語の響きがする。と思っていたらキリル文字だらけになってロシア語ばかりになる。前知識を入れないでみたので訳がわからなくなった(複数の旧共産国で撮ったと後で知った)が、途中からこれは意味がわかるべき映画ではないとわかり(セリフを取れることに意味がない)、ぼんやり見ていた。はっきり言えることは、こんなにも認識可能な撮り方で人間の顔が大量に撮られた映画を知らない。ウィークエンドのような延々と続く長回しで、二度と現れない人たちの顔、顔、顔を、ずっと見させられる。彼、彼女らも、カメラに手を振ったり、笑ったり、渋い顔をしたり、顔を隠したりしている。かれらは電車を、飛行機を、バスを、待っている。ただひたすら待っている。時々音楽。縦型ピアノの困った音で奏される恐ろしく美しいノクターン。誰の?