circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

「なぜに」


なぜにこんなに空が美しいのかとか そういう
ことを考えている、ぼんやりと、なにげなく、
どこへ行くのだろうとか、どこへ帰っていくのだろうとか、
たましいはいったい何なんだろう、とか考える おなかがへった
なぜぼくはこんなにも情けないのかぼくは
生きていてはいけない気がする、どうしても
禁じられている気がする


空はどうして青いのだろうとか そういうことをぼんやりと
考える、どうして歌はきれいなのだろうどうして色は美しいのだろうどうして
風は
涼しいのだろう


ありとあらゆるなぜが空をおおいなぜの雨が降る
あまりにも多くのことがわたしには分からない世界の中で
あまりにもその根拠が分からない一大中心としてわたしはそこにある
うたうこともできずに
よそおうことすらできずに


理由からはるか遠いところにきみはいてわけもなくきみを
うつくしい、うつくしいとくりかえすわたしは
わたしじしんに理由を問い疲れてただもうきみになりたい
ときにすべてをわすれてそう夢見るのもゆるされているのかな
ゆるされていない

「眩しさに目覚めること」


君を愛するということ
手を開いてあけること
朝早く起きてみること
眩しさに目覚めること


目覚めればすべては真っ白
君も真っ白で透き通るように
笑った、君が笑うと僕も笑う
そしてまた君が笑い僕も笑う


空はこんなにも美しく
君もこんなに美しく
なんという朝だろう
君は学校へ
僕は家に残り
考える


(君は、君が一番自然に笑っている顔がどんなに美しいかを知らないのだ!
 その完全さは鏡で見ることはできないし、写真で知ることもできないのだから!
 君が一番美しい瞬間を僕だけが知っているという、そのことだけでも
 この世に記憶として僕の存在を許す理由にならないだろうか?)