circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

やわらかいということと時間。わたしがじぶんを見失って夜行バスに乗り国境を越えたあと、ふらふらと辿り着いた海沿いの街の話をしたい。中には入らなかった歴史あるオペラ座のことや、まっすぐに伸びた海岸線、に向かって広がっていく視界、を遮らない解放されたまっすぐな建物たち。陸の方を見れば、山に向かって坂が上がっていく、登っていけば、目の前にまっすぐな海岸線がある。「かつてここに詩人がいた。そして古書店の夫婦がいた」古書店も詩人の家も見つけることはできなかった。個別の場所を求める気持ちも残っておらず、わたしは死に場所を探していたのかもしれなかった。