circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

書かない詩人という概念、書かなくなった詩人という概念に囚われて久しい。複雑骨折をまっすぐにしたような詩としか言えない日記を綴っていた短い期間に、それをどこか遠くで行われている夢だと思っていた。実際に名前がその場所にあったとしても、それは決して  なかったのだと思う。名前のない遠いところ。   この世とは離れた場所に認識や知覚があったというということ                この世じみた解では説明できない、もっと尊いこと  ずっと        この世とは離れた場所に認識や知覚があったというということ        いつか、出来るかもしれない。京都ではなく          ストレンジャーの場所でよく話した             もう記憶が曖昧になりつつある京都(あ 、あの街は魔界か何かではないだろうか)


美しい、という言葉でしか、言えない、あるということを通して詩である人たちのこと、それは、        すばらしい音楽を紡ぎ出すのに、書かないでいる、      自己表現意欲の、難しい井戸が   難しくあって、書くために存在するのではなく、存在を助けるために いまだ 手を離れる前の彼女の詩を思う、            普通の言葉であったことの、気の遠さについて思う 

控えめであるということの美徳


などという言葉は陳腐(んかんぷん)たぶん、存在の複雑な困難の前にあって、傍観客の戯言のようにしか見えないに違いない



たとえば彼が病気と闘っていた当時の詩や、返事の中性的な美しさあれは一体なんだったのか


網の向こうに  みていたものは永遠に美しかった  ひとつの映像 電話のむ        詩を読み合っていた人たち。とても遠いところで。ほかの映像、白い              大人たちに事件として取り上げられてしまう        違う世界へ行ってしまう                彼の名前を「くん」づけで呼んでいる                      幸せになってしまう。