circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

エリック・ロメール/恋の秋

冬物語」の衝撃から立ち直れていなくて、目もしばらく涙が枯れたみたいに眠い続きだったのだけれど、、、冬物語のいろんな人の感想をよんで、わたしは主人公に没入しすぎたし、共感しすぎたのだと他の人と比べて思った。今まででベストロメールと思ったけれど(半分も見ていないけど)、たぶん個人的な感想。主演シャルロット・ヴェリーが最初から最後まで凄すぎたし(こんな自然な演技を見ることがあるだろうか)、しかもその娘(五歳)役も同時に最初から最後まで凄すぎた。こんなことがあるかね。

 

冬物語」は、須賀敦子が、教養はないけれど信念が強い可愛らしい少女として書いていたベルナデット・スビルウそのもののように思われた。一方で、ふと現れるマリー・リヴィエールの表情が気に掛かって(リヴィエールがロメールと共同監督作として随分後にヴェリーを撮っているのは興味深い)、マリー・リヴィエールが主演の本作も見たいなと思った。そしたら共演のベアトリス・ロマンのちょっと不機嫌な表情が面白くてたまらなかった。泣く話でもないけどちょぅと泣いた。語り口がここまでくるとうま過ぎる気がしなくもないけれど…。ロメールの周りにはいつも若くて美しい女優がいて、彼が若手女優俳優を好きだったんだろうなと思うのだけど、ここで出てくる(元)生徒に手を出す哲学高校教師が「歳をとるほど若い子を好きになるのよ」みたいに言われていて、ロメールじゃないのかと思った。この作品は珍しく若手女性俳優を主演にしていないが、癖のあるキュートな脇役をアレクシア・ポルタルがしていてとてもいい。