circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

ライスカレー


日本には、カレーライスというたべものがあります。それは、インドという国からきたものです。同じく、ンポッニという国には、ライスカレーというたべものがあり、それは、ドンイという国からきた食べものです。
よく考えて下さい。昔の日本には、階級というものがありました。同じく、食べものにも、上下関係というものがあります。カレーライスというものは、ライスが下で、カレーが上です。カレーのほうがライスより、えらいことになります。
カツカレーライスとなると、よけいにややこしくなります。ライスより、カレーのほうがえらいということは、さっき書きました。しかし、そのカレーよりも、えらい、トンカツというものがドーンと乗っています。ライスにすれば、2人も、とのさまがいるのです。これほどにやっかいなことはありません。でも、カレーが、カツより上にのりました。カツのソースのかわりです。ライスの上に、カレーが乗り、その上にカツが乗り、その上にカレーがまた乗り、その上に、ときどきですが、ふくじんづけが乗ります。ライスは、けっきょく4人の重さがのしかかってきます。
ライスはさけびます。
「たすけてくれー!!」
ですが、人間は助けるどころか、ライスをよけいに苦しめます。スプーンと、フォークと、ナイフです。ライスは、もうたまりません。7人も、ライスに乗るのです。
ライスは、日本人で、トヨトミヒデヨシという人が、とんとん拍子に出世したということを思いだしました。
そうだ!!スプーン、フォーク、ナイフ、カレー、カツ、カレー、ライスという順番を、ライス、カレー、カツ、カレー、ナイフ、フォーク、スプーンというじゅんばんにすればいいんだ。
ライスは、レストランの、ある、お人よしのシェフにたのんでみました。
「カツカレーライスなら、ライスカレーカツに、カレーライスなら、ライスカレーにして下さいっ!!」
シェフさんは考えました。なるほど、ライスカレーか。カレーをお皿に入れて、その上から、ライスをおく、ということか。いつまでも、カレーライスなら、ライスが、重くてかわいそうだな。
「よろしい。ライスカレーにしてあげよう。」
シェフさんは、お店においてあるメニュー表を集め、カレーライスという字を、ライスカレーにかえてしまいました。その字の横に、
「ライスのためです。ライスカレーで、食べてやってください」と書きました。すると、そのライスカレーがうれて、レストランは大はんじょう。こうして、ライスの長年のゆめがかなえられたのです。そして、そのレストランのかんばんには、「ライスカレーの店」と書かれるまでとなりました。


今も、そのレストランはあります。ライスカレーもあります。シェフもいます。ライスカレーはいまだにひょうばんです。いちど、行ってみて下さい。
ライスのゆめがかなった、というよろこびのおいしさが、味わえることでしょう。こうして、ライスカレーが有名になったのでありました。


(後記:ンポッニとドンイの話はどうなったのだろう)