circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

はすみ:ジャン=マリ・ストローブが、最近のハリウッドの連中はひどいって言うんですよ。もしちゃんとジョン・フォードとかハワード・ホークスの映画を見たうえでつくっているならば、「地獄の黙示録」なんていう映画はできないはずだ。もしキング・ヴィダーの映画をすっかり見えたならば、「フィツカラルド」のような映画は絶対取れないだろう。(略)彼は、そういう悪口をいいながら、「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」とかやっているんですけれども、ジャン=マリ・ストローブというのは、非常に前衛的と普通思われているわけでしょう。だけど、やっていることは非常に正統的なことをやっているんですね、キャメラの動かし方一つにしても。やはり映画を良く見ている人は違うなと思うんです。(略)さっき、音楽家の出てくる映画は大体だめだっておっしゃったけど、あのバッハは、なんていうか、いい顔してるんですよね。
たけみつ:ぼくは三回ぐらい見たかな。
はすみ:この間また見直して、あらためてすごいと思いましたねえ。
たけみつ:昔、大島渚と話したとき、何が好きか、と訊ねたら、彼は即座に「バッハ」を挙げましたね。ぼくは、あ、大島さんはわかるんじゃないかな、という気がしたんだけれど(笑)。
はすみ:だけど、ほんとかなあ。ほんとに好きなんでしょうかね。
たけみつ:ほんとに好きだったみたいですよ。それで、次は、と聞いたら、不思議な映画だったな、ジャン・ジュネが撮った「愛の唄」ですか、あれが好きだって言ってました。ぼくはあれは見ていないんです。
はすみ:ぼくも見てない。変わってるなあ。アメリカ映画は出てこないんですかね、大島さんは。
たけみつ:いや、その話のなかで、ぼくも好きだったんだけれど、だれが撮って、どういう映画だったか忘れましたが、戦後間もなく「嵐の青春」というのがありましたね。そんな名前が出ました。

キタ――――――!!