circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

夢の島少女、で、ずっと笑わない中尾さんが、自然に笑みをこぼしている、高校の教室の窓辺の席で、友達と話しているのを遠くからズームで捉えているシーンがあって、それは、このドラマのなかでもとびきり美しいシーンで、ということは僕が見た数少ない全ての映画のなかでもとびきり美しいシーンで、その一瞬を「押さえてくれた」ことが、なによりも嬉しかったのです。撮られていると、知らないところでしか、本来の儚い笑顔は、捉えられることはない、と思うのです。


作らないこと。カメラやマイクの存在がなければ生起していたであろう美しい発露の継続を、それでもカメラやマイクに収めるという奇跡を、なぜ一時期の佐々木氏以外の人が、出来ず、なぜ佐々木氏も、一時期しか出来なかったのか、それはそもそも、不可能だからだろうし、見せるためではない美しい発露の主体は、見せることを選ばないからで、たぶん京都の作家にもたくさんの写真集だとか芸能界入りだとかの提案が来て、それを全て断ったのだろうし、それは正解だと思うけど、そのなかに一時期の佐々木氏の生まれ変わりがいなかったものだろうか。