circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

2004/5/13


すべてが曖昧に白い背景の中で、花がとても色鮮やかに見えた、グロテスクなほどに。



白鳥がおりました。



藁を固めて12星座を作っている人たち。みんな楽しそうに働いているように見えました。
それは僕の幻想かもしれないのですが。



ローザンヌへ向かう。メトロに乗る、メトロとは言ってもほとんど地上を走っていて。
牛が窓の外に見える、さすがスイスと思う。



EPFL(ローザンヌ工科大学)の駅。小さくておしゃれ。青で統一していて。



EPFL構内。
近代的できれい。翌日夜に徹夜で学生祭(Balerec)が開かれるらしく、その準備をしている。
このバララというのは、スイスで2番目に大きな学生祭だそうで、15000人が一夜のために
ここに集まるのである。翌日の夜は予定がないので来ることにする。
大体のプログラムは手に入れたけれども、そもそも洋楽に詳しいわけではないので彼らが有名なのか
インディーズバンドなのか、まったくわからない。




学食でご飯を食べる。1400円位。高い。サラダとキッシュとパン。やたらでかい。スイス人はやたら食べると見た。



建築学科の地下に並べてあった模型。建築学科のビルの周りには女性が多くて、本当にここが工科大学かと思った。
建築は5割は女性だと言う。だけれども、それ以外はやっぱり圧倒的に少ないそうだ。





J君と会って、彼は韓国人の留学生で、2人でコーヒーを飲みながらスイスという国について語った。
韓国も日本もアメリカ型ヒエラルキー社会(成功を求め、金を価値基準とし、能力あるものが金をも
うける)を目指してしまったところに間違いがあるのではないか。スイスに来てみると、みんな楽し
そうに働いているし、あくせく勉強したりしていない。たとえば高校なんかで言うと、日本も韓国も
とにかく大学に行くのがえらいと思っているし、大学受験のための有名な韓国のことわざ(もはや事
実ではないらしいが)に、「3時間寝れば大学に合格、4時間寝れば滑る」と言うのがあるぐらいだ。
それに比べて、スイスではべつに大学に行くのがすべてではないし、大学では伸ばせないような特質
を自分が持っていると感じれば、その人はなんの劣等感も抱かないでそちらの道に進むだろう。
たとえば日本や韓国で、掃除する人に大してお金は支払われていないだろうし、人々はそういった職業
をなんとなく見下すような感じじゃない?でもここではそんなことはない、みんなが平等だし、彼らは
わりと支払われているし、格好も素敵だし、なにより楽しそうだ。人々は彼らを見下すこともない。
スローな社会、と言って悪ければ、マイペースな社会なのだ。アメリカや日本のように何でも一番でない
といやだという社会ではない。そのような肩肘の張り方がおそらく国の中に精神的な南北問題のような
ものを生んでしまうのではないだろうか(推論としては飛躍が多いけれど、感情的にはそう感じたのだ)。
物乞いを一人も見なかった。町並みはきれいだった。花に水をやる職員が、こぎれいな制服で仕事をし
ているのを僕は気持ちよく見ていた。これはただの僕の西洋コンプレックスに過ぎないのであろうか?
金以外の価値観とはなんだろうか。スイスを支えている価値観は何なのだろう。少なくとも、こっちのほ
うがいい社会のように思えるね、と僕はいった、J君もそう思う、と言った。




モントルーに戻ってくる。
これだけの花を保つのには本当に手がかかるだろうなと思う。