circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

9/14

深くなれば深くなるほど浅くなる………



巨人は立ち上がった。しかし肝心の人々は彼に見向きもしない。時々あざけるだけだ。
発掘されない偉人も、天才もいる。たいてい彼らはこの巨人なのだ。


世紀末の危機にキリストが再び現れたとしても、人々は見向きもしないとおもう。
ただ人は笑うだけだ。
「あいつ、ばっかじゃねーの。」


人類にかぎっていうと、彼らのほとんどの災害の原因は彼らの内面にある。
世紀末の危機は外からではなく、彼らの内因性によるものだ。



*



フォーレラヴェルも本来は病的な美しさをもっている。アンドレ・ジイドも。
ふれているとぼくの心がふるえる。
自殺でもなし。世をいとうでもなし。
もうどうにかなってしまいそう。泣いて、センチメンタルとドリームをいったりきたりする。
ふと思いだす、どうにもならない運命と、恋の話。普通の人なら、掃いて捨てるような話だ。
しかしわたしはラヴェルとあれを読んだ。



ああ。すぎさった日々の上につもるもう二度と振り払われはしないほこりの上からすかして見えるあの黄金の時代。



病的な運命の恋? そんなことがこの鉄の時代におこるものか。あの奇跡の時代へ。あの黄金の時代へ!
…しかしあの時代はもう二度とかえってこない。



身体なんかかなぐり捨てて
魂だけの人間になりたい。



西行と放哉をたして2でわって宇宙規模にしたような人間に私はなりたい。