circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

昼下がり、哲学の道を歩く。道の真ん中で女子中学生三人が、見たことのない涼しげな制服で、ノートを持って外国人旅行者のお姉さんにインタビューしているのを、少し離れて若い女性教師がタブレットでビデオを撮っているので、私も他の観光客も邪魔しないように避けて通る。通り過ぎる時にひとりの顔を見た、彼女は旅行者を見上げて、まっすぐな好奇心溢れる目をしていた。世界が眩しそうだった。それが透き通るように眩しくて。


谷崎の息子嫁である渡辺さんの開いていたカフェが、その後放置されていたのを、犬が入れるカフェにしたあとそのカフェも無くなって、いまはとても綺麗なカフェテラスのあるカフェになっている。ここのことをわたしは大人になってから知り、渡辺さんをモデルにしたという瘋癲老人日記を読んだ。京都と熱海という道を駆け抜ける二人のことを考え、猫猫先生の渡辺さんに関するブログのことを思い出し、ぼんやりしながらこのカフェに置かれている文庫の谷崎=渡辺書簡集を開く。谷崎が18、9の渡辺さんを初めて見たときの絵はさっきのわたしがみた世界と似ていたか、似ていなかったか。