circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

コルンゴルトピアノソナタ二番の三楽章を聴いている。感動的なオクターブ下降、溜め、そして7度上行。ウィーンの爛熟だとか、腐臭だとか、世紀末ウィーンの不健康な甘さの闇から、飛び立っていく光は、スーパーマンの響きが隠れていて、コルンゴルトという人の恐ろしさを思う。彼がハリウッドへ行ったのはやはり不幸なことだったと思う。無調ぎりぎりを進むには、切実さと不安と必要性があるはずで、でも安定の兆しはすでに1930年代には出てしまっている。美しい青年期に、ふと聞こえるのちのハリウッドのような響きこそ、それが、崩れ行くウィーンの響きの中に聞こえるからこそ。