circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

言葉にくるしむあなたの、言葉にならなかった部分がすきです。
 
すべてをうまくいえる人のことを、ぼくはたぶん愛したりしないと思います。面白いと思うかもしれないけれど。くるしむあなたのことが好きです。この世界の写像があなたのなかにあるということ、それだけで、ぼくはこの世界に生きていようかなと思うのです。あなたはすこしずつその写像を言葉にする、そのときに、うまくことばにできないようすがすきです。むしろぼくはあなたがこの世界を見ているということの時点ですきなのかもしれません。ぼくはあなたの目がすきなのかもしれません。いいえ、ぼくはあなたの目がすきです。
 
笑顔が透き通っているあなたが好きです。いつも。かげりのない笑顔の人の、その絶望的な遠さにあこがれながらぼくはたぶん、生きていきます。あなたたちの目が輝いているかぎり、この世界に明かりは消えていないような、そんな気がします。わたしの目から見たこの暗い世界を、あなたの美しい目が、微かに照らし続けるかぎり、ぼくは生きていようと思います。