circustic sarcas

Diary of K. Watanabe


「しずかに!しずかに…」

ろうじんの声がずっと聞こえていました。
ぼくは天井を見上げて見上げて見上げていました。
なんでやろか、なんで彼はこんなに時間をかけて
絵を買いたんやろか。彼は充実してたんかなあ、
青空も見んと、ずっと天井に張り付いて、孤独な作業を続けて、
寿命も縮めてしまって、独身で、それって、幸せなんかなあ。
人が流れていきました。流れ、流れて行きました。
ぼくはでも、まだ、なんもしてへん。
ほんまに充実してるときはたぶん、孤独でも寂しくないんや、
たぶんそうや、そうだれかが言ってたから。

「しずかに!しずかに…」
ろうじんの声がずっと聞こえていました。