circustic sarcas

Diary of K. Watanabe

浮遊文書

髪の毛を重ねて縫う, 焼かれる.
胃に穴が開いていく.
山手線がその中をすり抜けて行く.
総武線がその上を通り越していく.
隣を見ると
さっきまでいた恋人は消えた.
もうこの世界から.
 
ときとひかりがあればいい.
僕のあと50年に,
それだけ.
 
それさえ神様は許してくれず
いま僕のもとをてらしていたひかりも
いま僕のまわりにあったときも
指間からこぼれおちていく
拾おうとしてしゃがみこむと
地面で身体は止まってしまう.
 
下を見たまま身体は
頭を抱えて止まってしまう.
隣を山手線が通り抜けていく.
ごーーごーーごーーごーー...
身体は炎に包まれる.